「旅の魅力 前編」の続きです。
荷物を奪われ日本に帰れなくなる
斎藤
旅をしていて一番つらかった経験はなんですか?
さかしゅんさん
インドで荷物を奪われて日本に帰れなくなったときが一番つらかったですね。
斎藤
え、何があったんですか?
さかしゅんさん
2年の春休みのときにインドに行ったときのことなんですが、鉄道で移動しようとしたら6時間遅れで。それもレールに牛が来ちゃったって理由で笑 なんかインドでは牛は神聖な動物なので強引に追い出せないらしいんですよ。それでそこで待ってる時に現地人と仲良くなったんですよ。
斎藤
現地の人と仲良くなるのが醍醐味って言ってましたもんね。
さかしゅんさん
そうなんです。スーツ着て身なりもきれいで、ホンダで働いているって言ってました。昔兵庫で研修を受けてたとか言って、兵庫のマニアックな路線とかいっぱい知ってたので、、それで信用できるなと思って飲みに行くことになったんです。
さかしゅんさん
その人と一緒にフードコートに行って、何か食べたいものある?って聞かれて色々買ってきてくれたんですけど、食べてから1時間ぐらいしたらめちゃくちゃ眠くなって。後から思うとその食べ物に睡眠薬が入れられてたと思うんですが。
斎藤
怖すぎ笑
さかしゅんさん
いやでもその犯人のインド人も「大丈夫?」とか言って心配しているふりをしてて、俺の意識が朦朧としている中「タクシーで駅まで行こう」って言うんですよ。それで駅についたあたりから意識が飛びました。
斎藤
インドで意識失うとか。危険すぎる。
さかしゅんさん
朝目がさめたら俺寝ていて。インドの路上でホームレス、ホームレス、俺、ホームレスって順番で寝てました。身ぐるみもはがされて上半身裸になってて。なぜか左ポケットにパスポートだけは入ってました笑
さかしゅんさん
最初は放心状態で待ちゆく人を眺めてました。気温も40℃ぐらいあってめちゃくちゃ熱いし、やられた、俺このまま死ぬんじゃないかって思ってました。しばらくして帰る決心をして、近くの人に今どこなのか聞くと駅から40キロも離れていたんですよ!
斎藤
その間何が起きてたんですかね笑 そこからどうしたんですか?
さかしゅんさん
いろいろな人に声をかけて、同じ駅に行くって人にバイクに乗せて連れていってもらいました。
斎藤
そこでまたヒッチハイクスキルが活きたんですね笑
さかしゅんさん
駅にはめちゃくちゃ人がたくさんいたので、みんなから一人一円もらえば絶対いける!って思ってまずは乞食してみたんですよ。街中でお金恵んでくださいってやるやつ。でもなんか「お前日本人で金持ってるのになにやってんだよ!」ってなぜかほかの乞食に俺怒られまくったんですよ。
斎藤
乞食に怒られるとか絶対経験したくない笑
さかしゅんさん
それで大使館行ったりもしたんですが、インドって日本で生活できない浮浪者が行ったりするんですよ。身なりが汚すぎたのでそういう人だと勘違いされて、大使館に何度行っても追い返されたので、これは自分で金稼ぐしかないなってなりました。
斎藤
大使館で助けて貰おうとする人が多すぎるから、助けないことになってるんですね。
さかしゅんさん
もう辛くて本当に食べるもの欲しくて。ただ働くのも難しいので、路上で木の棒使って侍のパフォーマンスをしてお金稼いでましたね。あとたばこ屋の人に声かけられて、たばこを巻く仕事とかもし始めました。
さかしゅんさん
そんな生活をしばらくしていたら、通りがかりの日本人きて、「面白いことしてるね、写真撮っていい?」みたいに話しかけてきて。俺は「それどころじゃないんです!ちょっと話聞いてください」って言って事情説明して。
さかしゅんさん
それで近くの日本人ゲストハウスみたいなところがあるよって教えてもらえたので、そこに行って旅行客の日本人の方からお金を借りてなんとか帰国にこぎつけました。3月下旬に帰る予定だったのですが、結局帰ってきたのは4月中旬くらいになってしまいました笑
斎藤
壮絶な日々だったんですね。お母さんとか心配してなかったんですか?
さかしゅんさん
いや、そもそも親に旅行に行くこと言ってなかったんですよ。でも、友達には帰る時期も伝えていたので、学部事務室に失踪届出してくれてました笑
斎藤
さかしゅんが連絡とれないなら本当にやばそうだって思ったんでしょうね、きっと笑
さかしゅんさん
あのときはほんとにキツかったけどけど、今思えば良い経験ですね。
旅の魅力
斎藤
そんな壮絶な経験をしているさかしゅんさんですが、旅の魅力をあげるとしたらなんでしょうか?なぜまた行こうと思えるんですか?
さかしゅんさん
やっぱり一番の魅力は現地の人に会ったり色々な話を聞けることですね。俺結構海外に住んでいる日本人に会いに行くことが多いんですね。そこでなんでここに住んでるのかとか、どういうことを大切にしているか聞くんですよ。そうやって聞いた人の価値観を吸収できるってところは魅力ですね。
さかしゅんさん
常に新しい経験ができるのも魅力です。例えばインドで道幅が狭いから通ろうとすると牛に頭突きされるとか。そういうのは日本では絶対にできない経験ですからね。そういった新しい経験を定期的に味あわせてくれるのが旅なんです。幼稚園でもよく脱走とかしてたので、昔から未知の世界に足を踏み入れる感覚が好きだったのかもしれません。
斎藤
なるほど確かに海外なら自分の知らない世界を見ることができますもんね。
さかしゅんさん
あと日本より自由にできるところが好きです。例えば海外だと規則がゆるいところがあったりするので、日本でできないようなバカ騒ぎしたり。。普段の人間関係のしがらみにとらわれないところもいいですね。解放感と言ってもいいかもしれません。
さかしゅんさん
気温の違いとかも魅力ですかね。日本が寒いときにはあたたかいタイに行ったり、日本が暑かったらアメリカの涼しいところに行ったりすると心地よく生活ができるんですよね。
旅行初心者へのアドバイス
斎藤
旅初心者が海外に行く場合、どこの国をおすすめしますか?
さかしゅんさん
何が好きかによりますね。美術が好きならパリがいいと思いますし、美味しいの食べたいって人なら日本人の舌に合う台湾とかもいいと思います。
さかしゅんさん
総合的に万人受けしそうって意味では、、タイがいいと思います。まずアユタヤなど世界遺産が多く、観光に困りません。それに加えて料理も美味しいです。親日家が多いので日本料理店とかも多いですし、日本人の好みも分かってくれているので、屋台に行ってもパクチーをお好みで入れられるシステムになっていたりとか、配慮がされてます。
さかしゅんさん
物価が安いのでお金にも困りません。だから大人のお店とかも好んで行く人はいるみたいですね笑 あとは時期によっては往復2万8千円くらいで行けるというアクセスの良さも魅力ですね。治安もいいので女性も比較的安心して行けますよ。周りを見ると日本人の女子大生が多く来ていました。
斎藤
なるほど!それを聞いて俄然タイに行きたくなりました!寒い冬の時期に行けば温かいところに逃げられますしね。
斎藤
旅をするにあたって注意点って何かありますか?
さかしゅんさん
荷物を減らすことですね。たくさん持っていくと重いし、フットワークも悪くなっちゃいます。ホテルに荷物を置いて動くと面倒だし、清掃の人に盗まれたりもするので、荷物を減らすことはセキュリティにもなるんです。
さかしゅんさん
基本物価が安いとこなら必要であれば現地調達ってもの手だと思いますよ。ちなみに俺がベトナムに行ったときはリュックもなしで袋1個でした。ここまで減らすことは珍しいと思いますが笑 例えばパンツは替えを何枚も持っていかなくても、海パンで移動すると洗ってすぐに乾かせるので事足りる、みたいな感じで減らしていけます。
さかしゅんさん
あと注意するのは食あたりですね。正露丸は持っていきましょう。あと、親日をめちゃくちゃ熱く語ってくる人には要注意です。でも本当に親日の人もいるにはいますが、初心者なら少し疑ってかかるくらいがちょうど良いかもしれません。
斎藤
しくじり先生ですね笑 説得力が半端ない
斎藤
人とちょっと変わった旅の楽しみ方があれば教えてください。
さかしゅんさん
宿泊場所を決めないで行くことですね。宿探しが旅の1つの醍醐味なんですよ。モーテルとかゲストハウスとか。それで現地にいる人と話したり、一緒にごはんに行ったりできるので楽しいですよ。
斎藤
それはなかなか真似できなさそうです笑
旅を趣味にすることのメリット
斎藤
旅をしていて得したことはありますか?
さかしゅんさん
まず友達が増えることですね。旅先でいろいろな人に会えるので知らない価値観に触れられますし、一緒に生活することで友達も増えます。
さかしゅんさん
あとは自分で宿を探したりお金払ったりとか自分でやらないといけないので、コミュ力や自力でアクションを起こす力が身につきますね。経験を積んでいけばどこでも生きていけることができるようになりますよ笑
斎藤
旅をしているからこそ気づいた価値観ってありますか?
さかしゅんさん
人の性格を一括りにしなくなりました。「○○出身の人は××だ。」みたいな人がいるんですが、国の中にも文化あって、その中の民族にも文化があって、そこに属する人にも性格があってという感じで、細分化すればするほど違いがあることが経験で分かって。
さかしゅんさん
なのでそれを一括りにしてしまうのは間違ってるなと思うようになりました。あと同じ人間でも今日の考えと明日の考えって違いますし、その瞬間瞬間でも人の考えって変わると思うので。もし苦手だと思っても今のこの人が苦手なんだなと思って受け入れられるようになりましたね。
斎藤
さかしゅんさん誰にでもフレンドリーですもんね。旅の中で感動するのはどういう瞬間ですか?
さかしゅんさん
感動した瞬間は話きれないほどあります。ひとつあげるとすると、初めてジャカルタに行った時の話なのですが、全然違う人種なのに食って寝てたれてみたいな、生活スタイルとか基本的な行動はみんな一緒なんだなと感じたんです。だから笑いのような共通のアイテムは国を問わずヒットするし、外国人でもやっぱりこういうところで面白いと思うんだと分かった時は感動しました。
さかしゅんさん
こういった気づき以外にも、人との出会いで感動したときとか、訪れた場所の絶景で感動することとか、、旅での感動は数えきれないほどありますね。
斎藤
なるほど、私も旅に行ってみたくなりました。
最後に「旅とは?」
斎藤
最後に、さかしゅんさんにとって旅とは何か、教えてください!
さかしゅんさん
やっぱり旅って人生だなと思うときがあります。特に自転車で膝壊しながら何㎞も走ったりとか、インドで困難な目に合ったりとかお話してきたと思うんですが、社会に出ても同じようにきついことっていっぱいあると思うんです。予想外の困難も待ち受けていたりする。
さかしゅんさん
福岡への自転車旅の時に経験したんですが、ある山を超えた瞬間にもっと大きな山が出てきたんですよ笑 その時に挫けそうになったのですが、頂上を超えたときに見えた景色に期待してモチベーションを高く保ちながら頑張って登りきれました。そういうのって社会に出てからも無数に経験すると思うんですよ。
さかしゅんさん
あとは旅って選択の連続でその選択によって得られる経験が変わってくるじゃないですか。いままで選んできた進路の結果今がある、っていうのは人生そのものなんじゃないかなと思っています。
斎藤
すごく面白かったです。本日はありがとうございました。
(取材日:2018年5月8日)
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