心理戦だけじゃない!世界大会上位2%のプレイヤーが語るポーカーの魅力

みなさんはポーカーはプレイしたことありますか?カードを交換してより強い役をつくるだけのたかがトランプゲームの1種だと思っていませんか?

実はポーカーは世界で1億人以上のプレイヤーがいるほどメジャーなゲームなんです!日本人でも芸能人のGACKTさんがハマっており、「ギャンブルよりも遥かにおもしろい」と言わしめたほどです。

日本で広く行われているポーカーは実は世界標準ではなかったり、心理戦は思われているほど重要ではなかったりと、、実はポーカーはもっと奥が深いんです!そんなポーカーの魅力を今回はオンラインの世界大会で上位2%に入ったという方からお伺いしました

築舘さん

築舘です。
ポーカー歴は1年くらいで、日によっては1日10時間くらいプレーしています。今年の夏休み中はほぼ毎日、都内のアミューズメントカジノに通ってポーカーをしていました。帰宅後はオンラインポーカーでまた打ち直すというような生活をしていました。

築舘さん

そして、2018年の9月に、そのオンラインポーカーで世界最大規模の大会があったのですが、そこで上位約2%に食い込み入賞しました。

斎藤

すごいですね!アミューズメントカジノとか、オンラインポーカーってどんなところなんですか?

築舘さん

アミューズメントカジノというのは日本国内にある合法カジノで、専用のチップを使って遊ぶことができる場所のことです。オンラインポーカーはパソコンやスマホでプレイできるサイトで、実際のお金をかけて勝負したりしています。

斎藤

ネットからなら日本でもカジノが楽しめるんですね!知りませんでした。オンラインカジノでは参加者はどのくらいの額をかけるんですか?

築舘さん

出るトーナメント次第ですね。参加費1ドル未満のものから高いものだと5000ドルくらいの部屋まで、色々あります。参加費が高いトーナメントほどプレイヤーのレベルも高く、僕はまだ高くても100$くらいのトーナメントにしか参加したことないですね。普段は10ドル前後のものに出ています。

斎藤

5000ドル(≒50万円)なんて無理ですよね笑 アミューズメントカジノのほうはどういったところなんですか?

築舘さん

ポーカーをはじめ、バカラ、ブラックジャック、ルーレットなどが遊べる施設です。行うのは賭け事ですが、お金に変えられないチップを使うので合法なんです。都内には約30~40個所くらいあります。

斎藤

カジノって聞くと結構危険なイメージがするのですが、実際安全なんですか?

築舘さん

もちろんです!バーのような落ち着いた雰囲気のところもあれば、メイド喫茶のようなわちゃわちゃしたところもあります。安心安全の合法カジノです!

ポーカーにハマったきっかけ

斎藤

築舘さんがポーカーにハマったきっかけってあります?

築舘さん

初めてのプレイは海外のカジノだったのですが、実際に自分のお金を賭けて、お金が消えるか倍になるかというヒリヒリ感が魅力的だと感じました。ギャンブルの魅力まんまですね(笑)

築舘さん

そして、日本に戻ってきて国内の大会に出たりしていたら、「これはただのギャンブルじゃない。ちゃんと勉強したら勝てるようになるぞ」と思うようになったんですよ。そして実際に理論や確率を勉強して戦ったら勝率がどんどん上がっていったので、更にのめり込んでいきました。

斎藤

勉強したら勝てるというのは、なぜそう思ったんですか?

築舘さん

理論や確率を覚えれば、より数学的に正しいプレーを選択出来るようになるからです。

築舘さん

例えば、あと1枚♡を引けばフラッシュ(5枚すべてが同じ柄の役)が完成する局面。この際に、次に♡を引ける確率は何%あるのか?その確率を考えた上で、こちらはいくらまでなら割に合う勝負なのか?つまり、期待値が+になるのか? というように、勉強すれば直感や運頼みではなく、“数学的に見て長期的に得をするプレー”を選択できるようになるんです。

斎藤

そういう考え方でプレイしているんですね!

ポーカーの魅力

築舘さんがお持ちのカードとチップセット

斎藤

ポーカーの魅力ってどこにあるんですか?

築舘さん

論理的思考が鍛えられるところが大きな魅力です。。ポーカーで勝つためには、勝負に乗るのか(コール)、パスをするのか(チェック)、更に掛け金を高めるのか(レイズ)、勝負を降りる(フォールド)のかという選択の一つ一つを、根拠を持って一貫してできるかがとても大事になります。そこで鍛えた論理的思考は仕事にも活きてくると思っています。

築舘さん

またこれからどんどん盛り上がっていく可能性が高いゲームでもあります。というのも、今年カジノ法案が成立したことで、今後日本でも合法的にお金を賭けられるカジノができていきます。そして、ポーカーもその中で扱われるゲームの一つとして選ばれたんですよ!なので、今後ポーカーをやる人口もどんどん増えていくのではないかなと思っています。

築舘さん

また、ポーカーはIOC(国際オリンピック委員会)から、チェスや囲碁などと同じ「マインドゲーム(頭脳スポーツ)」の一つとして認められています。今後オリンピックの種目になる可能性もあったりして、ポーカープレイヤーとしては夢があるなと思います(笑)。

斎藤

たしか、日本人のイメージするポーカーって世界標準とは異なるんですよね?

築舘さん

そうなんです!日本人がよくイメージするポーカーはドローポーカーといって、5枚の手札を配られて何枚交換するか決めるものなのですが、個人的には読みの要素がなくてあまり面白くないなと感じます。ただただ交換するだけで、何枚交換したかしか分からないから読める要素がなく、ただの運ゲーのように感じます。プレーしたことがないため、的外れなことを言っていたらすみません!

斎藤

たしかに。。

築舘さん

一方で世界的に主流なのは、テキサス・ホールデムというポーカーです。僕がやっているポーカーもこれですね。

築舘さん

テキサス・ホールデムでは、場に全員共有の5枚カードがあって、それと自分の手札2枚合わせて、合計7枚のうち5枚で一番強い役で勝負するというルールです。

築舘さん

その5枚が1ターンごとに場に公開されていく(0枚→3枚→4枚→5枚になる)ので、どのタイミングでいくら賭けたか、チェック(パス)したか、レイズ(賭けた額を2倍以上にする)したかとかといった点から、相手のカードの推測ができるんですよ。

斎藤

なるほど、読みに使える要素が多いから実力差が出やすいんですね。

ポーカーの楽しさ、辛さ

斎藤

ポーカーをやっていて楽しいと感じるのってどういうときですか?

築舘さん

ブラフといって、本当は弱いのに強く見せて相手を下ろす瞬間だったり、ブラフキャッチと言って相手のブラフを見破って勝ったときは興奮しますね。ポーカーの醍醐味の1つであると思います。

築舘さん

あと良いハンド(手札)が来ないときには1~2時間ひたすらフォールド(ハンドを捨てること)し続けることがあるのですが、ひたすら待って耐え凌いで、やっと良いハンドが来た時に勝てた時は嬉しいですね。「あの時無理に突っ込まなくて良かった~!」となります。

築舘さん

ポーカーって、しんどい時にどこまで我慢できるかみたいな要素も凄く大事なんですよね。様々な要素がある中で、自分の読みを信じてアクションを選択する。そして読み通りに勝てるとやっぱり嬉しいですね。

斎藤

「読み」って例えばどうやってするんですか?

築舘さん

基本的に、相手のアクションやシチュエーションを基に相手のハンドがどの程度強いのかを読みます。例えば今まで相手が10回中10回ずっと降りてきたのに、11回目でレイズしてきたらこれは危ないな、絶対強い役が出来てるなと。

築舘さん

しかし10回中10回レイズしてきた人が、11回目でレイズしてきても、これはブラフの可能性が高いんじゃないかなと思ったり。これは極端な例ですが笑

築舘さん

他には、プレイスタイルや相手の性格を考慮しながら戦略を立てます。あとは表情、チップの触り方、呼吸の仕方なども考慮する要素に入りますね。

斎藤

なるほど。反対に、ポーカーをやっていて辛いと感じることってありますか?

築舘さん

自分がミスプレイをしたり、90%勝てる場面で運負けしてしまったときとかに、感情が揺さぶられてしまうと、論理的な思考ができなくなって更に大きく負けてしまうことがあるんです。ティルトと呼ばれていて、ポーカープレイヤーなら誰しもが通る道なのですが、ティルトに陥って大きく負けてしまうと精神的に辛くなりますね。。。

斎藤

そういうときってどうやって乗り越えるんですか?

築舘さん

感情にどう対処するかを論理的に考えて、TO DOに落とすようにはしています。

築舘さん

「失敗を引きづらない」とどんなに思っていても、バッドビート(超有利な状況で有り得ないような負け方をすること)を食らった時は感情が揺さぶられるので…。2~3分離席して1人で落ち着いたりとか、音楽を聴いたりして気持ちを切り替える手段をいくつか用意しています。

強くなった秘訣

斎藤

築舘さんは、どのようにして短期間でそこまで強くなれたんですか?

築舘さん

PDCAをひたすら回したのが一番の理由だと思います。ポーカーというのはPDCAが回しやすい競技だと思うんです。1日やっていれば何百回とハンドが配られるんですよ。その1ハンド1ハンドをとにかく分析して次に繋げたことが強くなった理由だと思います。。

築舘さん

まず、今のハンド(手札)と場の状況で、最適だと思うアクションを選択する。2回目は、自分のアクションに対して予想通りor予想外のアクションが返ってきた、だからそれを踏まえて次はこうしてみよう、、という感じで1回1回反省と改善を繰り返します。

築舘さん

このようにゲーム中に反省と改善を繰り返しつつ、大会全体を通しての分析も行いました。分析用のフォーマットを自分で作って記入しておき、自分より強い人に見て貰うことなどもしています。

斎藤

なるほど!築舘さんのPDCAのフォーマットにはどのような要素が入っているんですか?

築舘さん

・プレーの順番
・相手のアクション
・相手の賭けた金額
・場に落ちたカード
・自分の予想していた相手のハンド

などが入っています。

築舘さん

要は、振り返った時にその時のプレーを再現できるようになっていればOKです。次に同じような状況になった時の参考になるように、反省点なども合わせて書いています。

斎藤

なるほど、そのメモはどのタイミングで書くんですか?

築舘さん

プレーが終わった瞬間にスマホにメモすることもありますが、印象的な勝負はメモしなくても覚えているので、帰ってから書くことが多いですね。

斎藤

え、勝負しているとこでスマホ使って良いんですか?

築舘さん

自分がゲームから降りてハンドを持っていないときなら、全然使ってOKなんですよ。メモどころかLINEもTwitterも出来ます笑 ただ、大きな大会の決勝とかになるとライブ中継されるので、そういう舞台ではスマホは触れないですね。

斎藤

カジノの厳しいイメージとは裏腹に、意外とゆるいところもあるんですね。

築舘さん

そうですね笑 あと強くなれた要因としては、自分の師匠となる人をみつけられたのがすごく大きいと思います。PDCAを高速で回せたのも、自分よりもできる人に1つ1つチェックしてもらえていたからです。「ここをこう変えたほうがいい」というのを言ってくれる人がいることが、爆速で成長する鍵だと思います。

築舘さん

強くなるためには、まずは「この人に教えてもらいたい」という人を見つけることが大事ですね。それは同じカジノの常連さんでもいいですし、大学のサークルのうまい先輩でも良いと思います。それを見つけるのが一番の上達の道だと思いますね。

斎藤

師匠には何を見て貰うんですか?

築舘さん

そのアクションの整合性ですね。なぜそこでそのアクションを選択したのか。「どう見ても負けてるのに勝負してしまったのは感情的になっていたからだよね?」「ここは客観的に見て勝っている可能性の方が高いのになぜ降りたの?」とか聞かれます。

築舘さん

「僕はこう考えました」と伝えると、「でも、こういう可能性を見逃していたよね」「相手の様子のこういう部分を考慮したらアクションも違っていたよね」などとアドバイスを貰います。どこで間違ったのかを一緒になって見つけてもらえると、上達のスピードがかなり上がると思います。

斎藤

確かに!自分では見つけられない自分の課題点を指摘して貰えるってのは大きいですよね。築舘さんはそういう人をどうやって見つけたんですか?

築舘さん

僕を海外のカジノに連れて行ってくれた人が日本でも引き続き教えてくれたり、その方のポーカー仲間を紹介してもらったりして、いつのまにか4~5人のグループが出来ていた感じですね。

築舘さん

今でも大会の後はそのグループで報告して、フィードバックを貰っています。最近はある程度力がついてきたので、ただ教えて貰うだけでなく議論のような形になってきました。

ポーカーに向いている人とは?

斎藤

ポーカーはどのような人が向いているのでしょうか?やっぱり心理を読める人?

築舘さん

論理的思考が一番大事です。相手の心理が読めるかとか、いわゆる「ポーカーフェイス」ができるかとかは一つの要素としてはあるんですが、それは世間で持たれている印象ほど重要ではないと思っています。

築舘さん

もちろん感情が表情に出るよりも出ないほうが良いと思うのですが、それよりも論理的思考が出来るかどうかのほうがよっぽど大事だと思います。感情の赴くまま行動するタイプの人はあまり向いていないかもしれませんが、論理的思考は鍛えれば身に着くものなので、そこはあまり気にせず色々な人にやってもらいたいとも思います。

築舘さん

あと周りの友達に教えたりすることがあるのですが、もともと麻雀や、ボードゲームが好きな人はポーカーの飲みこみも早いですね。頭を使うゲームが好きな人はポーカーの適正があると思います。

斎藤

周りのプレイヤーはどのような方が多いんですか?

築舘さん

性別で言うと、男性が9割ですね笑 ギャンブルのイメージが強いので女性はちょっととっつきづらいのかもしれません。年齢層は学生~60代の方など結構幅広いですが、30代くらいのサラリーマンが一番多い印象です。

築舘さん

医者や経営者の方もけっこういたりと、普段ではお近づきになれないような方々もけっこういます。学生は少ないですが、ポーカーサークルなども大学によってはあるので、母数は徐々に増えつつあるように感じますね。

ポーカーの始め方

秋葉原にはメイドさんがカードを配ってくれるカジノがあるらしい(※画像はイメージです)

斎藤

ポーカーを始めるにあたって、初心者はどこから手をつけたら良いと思いますか?

築舘さん

基本的なルールを覚えたら、まずポーカースターズというオンラインで対戦できるサイトでプレイしてみるといいと思います。ゲーム内のマネーでお金を賭けずにできますので、繰り返して流れを掴むと良いと思います。

築舘さん

ある程度慣れてきたら次はアミューズメントカジノに足を運ぶのがおススメです。例えば都内にあるポーカーのスポットとしては秋葉原にあるアキバギルドが有名なので、一回行ってみてください。安ければ1000円くらいからできますし、メイドさんもかわいいですよ笑

斎藤

いいですねメイドさん!会いに行きたい笑

斎藤

アミューズメントカジノでは、初めての人でも馴染めますか?

築舘さん

「初めてなんでよろしくお願いします。」みたいな一言いえば受け入れて貰えますよ笑 僕も初心者とやってもそこまで抵抗感は無いので。それでも1人で行くのはなかなか勇気がいるので、最初は経験者の方と一緒に行くのがおススメです。

おすすめの書籍

斎藤

築舘さんが、読んでいて良かった本ってありますか?

築舘さん

SHIMADA Shinyaさんの『トーナメントポーカー入門』がおすすめですね。基礎的な理論や戦術が載っているので初心者がまず手にする本として最適だと思います。

築舘さん

基本的なルールも載ってますし、「こういう場面がきたら一般的にはこう返すべきだ」というような状況に対する正しいアクションの指針が載せられています。ポーカーにおける定石が載っている本ですね。

好きなポーカープレイヤー

斎藤

好きなポーカープレイヤーはいますか?

築舘さん

ダニエルネグラーノです。まず、気さくで親しみやすい雰囲気が好きです笑 プレー面では、やはり圧倒的なリーティング(相手のハンドを読むこと)に憧れますね。

築舘さん

「ここで降りられれるの!?」というところで冷静にフォールド出来る読みとメンタルには感服します。自分だったら突っ込んじゃうようなところを冷静に降りたり、逆にいくところはガンガン攻めたりなど、勝負所を的確に見極めているところが凄いですね。

斎藤

(動画見て)相手を読むのもすごい上手なんですね。プロのようなハイレベルな中だと、ポーカーにおける強さってのは最終的にはどこで差がつくのでしょうか?

築舘さん

相手の力量を正しく見極めて、相手に応じたプレイをする(アジャスト)力で差がつくかなと思います。例えば相手のハンドを一切を読もうとしない初心者にブラフをしても効かないんですよ。だから初心者には初心者合った戦略をとらないといけないし、逆に上級者には上級者に合った戦略をとらないといけない。もしくは、上級者相手とは戦わないという選択肢を取るのも、立派な戦略だったりします。

築舘さん

プロレベルになると基本的な戦略を熟知しているのは当たり前なので、その上で“誰”と“どのように”戦うのかにおいて最適解を求められるかが大事なのかな…と思いますね。

築舘さん

…と言ったのを全てひっくり返してしまうようですが、最後はやっぱり運も大きいです笑 アクションとしては正しくても、運負けして敗退することは多々あるので。どこまで運に恵まれるか、というのも勝敗を分ける大きな要因であることは間違いないですね。

なるほど!築舘さんは、今後どこまで目指そうとお考えなんですか?

築舘さん

ライブ(オンライン上ではなく、実際の卓で打つこと)の世界大会に出ることが直近の目標です。そのために世界大会に繋がる国内の大会に照準を合わせて、日々オンラインで練習に励んでいるという形です。

ポーカーとは?

斎藤

ここまでお話お聞かせいただきありがとうございました。最後に、築舘さんにとってポーカーとは?

築舘さん

「人生」ですね笑 ちょっと大げさな表現ですが、僕はポーカーと人生は通ずると思っています。というのも、ポーカーはリスクを“正しく“取ることがとても大事です。

築舘さん

ポーカーでは一切勝負にでなければ長い時間生き残ることは出来るんですが、、ジワジワとスタック(持っているチップの総量)が減ってどこかで必ず0になる。。だから適切なタイミングで適切な量のリスクをとらないといけない。これは人生でも言えるなと思います。

築舘さん

特に、若いうちにリスクを取っていかないと成長はないと思っているので、ここはポーカーで学ばせて貰っているところでもあるかなと思いますね。

ありがとうございました。これからも世界大会目指して頑張ってください!

(取材日:2018年11月9日)